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レオナール藤田と猫 [猫と暮らせば]

レオナール藤田と猫


1933年頃ロスアンゼルスにて 藤田嗣治画文集「猫の本」より

 この間、韓国人のS君と上野の国立西洋美術館に行った。
彼はロダンの考える人が庭にさりげなく置かれているのにいたく感心していた。
ここの西洋美術館の常設展はいつ来ても心が落ち着く。
どれも、これも見慣れた絵だから散歩のつもりで見て歩ける。

 S君は学生割引で入ったから130円、一般でも420円なのって、これだけのコレクションに対してはすごくお得と言う感じがするし、だから繰り返し来ることも出来る。その西洋美術館の一番出口に近いところに藤田嗣治の女性の絵がある。藤田独特の乳白色の画面が印象的だ。

 僕のなかでは藤田嗣治は乳白色の少女像を描く画家という顔と、アッツ島玉砕のような戦争画家としての顔の二つの顔を持っている画家として記憶されている。藤田自身のことはあまり知らなかったし、軍部と近く戦争画を書いていたとか、戦前はエコール・ド・パリの巨匠として一世を風靡したとかくらいしか聞いていなかった。というよりは、どちらかと言うと、余り好きな部類の画家ではなかった。

 しかし、その出口近くにある絵を見て、その日本画のような画面の色彩と繊細な線が気に入ってしまった。ミュージアム・ショップを覗いてみるといろいろな美術書の中で「藤田嗣治画文集 猫の本」というのが目に飛び込んできた。

 3000円で、ちょっと高かったけど思い切って買った

 
この画集の中にある一枚の写真が特に気に入ってしまった。
藤田が無造作に子猫を抱えている。その子猫は、父親に逆さに抱かれてキャーキャー喜んでいる赤ん坊みたいに、バンザイをして笑っているように見える。1930年代の、藤田が最高の時代の優しさと自信がよく表れている。藤田の印象が今までのものとは全く違ったものになった。それは僕にとっての藤田の三つ目の顔になった。

 この数年後、第二次世界大戦が勃発し藤田はドイツ軍の侵攻の前に陥落寸前のパリを抜け出し日本に帰国、その後戦争画家の道を歩むことになった。戦後、今度は戦争協力者のような眼差しでみられるのを避けるようにフランスに戻り、レオナール藤田としてフランス人になった。

藤田の描く猫はどれも生きている。画面の中で息づいている。
それは藤田の青春そのものだったのかも知れない。

「猫十態」より

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コメント 10

HAL

マジックでヒゲとかマユゲとか描いた?(^^;)
by HAL (2005-10-12 00:01) 

mimimomo

実はこの画家、わたくしも好きではありません。でもちょっと印象変わりました。
by mimimomo (2005-10-12 05:34) 

mippimama

西洋美術館には何回か訪れた事があります。
地方の美術館と違いスケールの大きさに感心しました。
by mippimama (2005-10-12 10:55) 

女王猫

ほんとうに、お父さんに遊んでもらってきゃーきゃーと喜んでいるような
幸せな写真です。。
そして上の方のコメント・・マジックで描いたようなって、もう一度まゆや髪型をよく見て笑ってしまいました^^
この本、あたしも欲しくなりました。
猫飼いにしか分からん何とも言い難いものが、ページをめくる度に
どんどんと広がるのかしら~と、わくわくしてしまいます♪
by 女王猫 (2005-10-12 15:15) 

Silvermac

あの時代、有名画家でも協力せざるをえなかったのでしょう。
by Silvermac (2005-10-12 15:33) 

櫻

前髪が・・前髪がゆがんでいます。きっと大きな裁ちばさみでジョッキリしたんでしょうね(笑)。抱っこされている猫ちゃんの安心仕切った表情をみていると
この人の絵をもっと観てみたいと感じました。
by (2005-10-12 23:45) 

ziziblog

日本の画家といえばやはり藤田嗣治なんでしょうか。
猫をこんなに愛していたなんて、一面を覗かせていただきました。
by ziziblog (2005-10-13 06:46) 

ecco

西洋美術館ですか~
行きたいな。
土日しか休みがないと
混んだ場所に出かける気にならず
ついつい足が遠のきます。
「猫の本」これは私もきになる本です。
by ecco (2005-10-15 21:38) 

coco030705

おはようございます。
とってもいい写真ですね。私は藤田嗣治が好きです。戦争画は、強制されて描いたものだと記憶しています。
彼の描く女性や、静物画や、猫の絵、どれも大変魅力的です。母も藤田の猫が好きで、家にリトグラフを飾っています。
最近東京へ行くことが多くなってきたので、また、西洋美術館にも出かけてみようと思います。
by coco030705 (2005-12-04 09:09) 

くみみん

こんばんは。藤田嗣治さんのことは、今回の展覧会まで猫の絵と女の人の絵しか知らなかったのですが、戦争画家でもあったんですね。日本でもフランスでも「異邦人」になってしまうのが悲しいような気がします。今週中には西洋美術館に行こうと思っています。(今度は早めに行こうとおもいます)
by くみみん (2006-05-30 22:21) 

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