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Nostalgia France [2] Mont St-Michel [gillman*s Lands]

Nostalgia France [2]  Mont St-Michel

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 バスがノルマンディーの海岸線に近づくと目の前に広がる牧草地のはるかかなたに小さな三角形の島影が見えてきた。言われてみないと気が付かないような小さな点が、バスが方向を変えるたびに見え隠れしては再度現れる度に段々と大きくなってゆく。なぜか胸がちょっとドキドキしてきた。遠くから島影を見て胸がときめくというのは大昔スペインの地の果てでジブラルタル海峡に浮かぶラクダの背のようなジブラルタル島の島影を見て以来かもしれない。

 外は強い風が吹いている。その風が牧草の上を吹き抜ける度に深緑色の草の海が波打って何とも言えず美しい。遠くに見える小さな三角形がモン・サン=ミッシェルの島だ。その島にはぼくも一度は行ってみたかった。普通はパリからバスで日帰り観光するのが多いらしいのだけれど、パリからは360Km位い離れているので日帰りでは慌ただしい感じがする。カミさんは是非島の中の宿に一泊したいという。ぼくも島の夜景も見たいと思った。幸い島の中のホテルに泊まることができたけれど、そこは思った以上に大変なところだった。

 もともと岩でできた小さな島の上に建てられた大寺院なので家々は細い道を挟んで肩を寄せあうように建っている。泊まったホテルは細い階段の路地を上がった坂の途中にあった。しかしその建物にフロントはあったものの、ぼく等の泊まる部屋はそこからさらに細い路地の階段をずっと上がった別棟にあった。部屋はその建物の三階の一番奥。三階といってもヨーロッパでは一階はゼロ階だから事実上は四階になる。急で狭い階段、それもエレベーターはない。ポーターさんが居なかったらぼくらは一階の階段脇の踊り場で一夜を過ごすことになっただろうと思う。とてもじゃないけど20キロ近いトランクを抱えて自分の部屋にたどり着くことはできないから。 

 

 島のレストランで夕食を済ませて島の外に出た時には夜の十時を過ぎていた。島からは対岸まで一本の道が伸びている。そこは徒歩でしか行けないのだけれど、この道を作ってしまったために島周辺の潮の流れが変わってしまい土砂の堆積で島が陸続きになりつつある。ぼくが訪れた時はたまたま大潮の時期だったので着いたときには満潮で水の中に浮かぶ島の姿が見られたけれど、今は殆どは陸続きの状態なのだ。この状態を昔の姿に戻すべく道から少し離れたところに橋が作られつつある。その橋ができればこの道は撤去されてまた海の底に戻るはずなのだが、理由は分からないけれど、いつまでたっても橋はできあがらない。見たところまだ、骨組みができているのはせいぜい十数メートルということろか。

 一本道を歩いて島の外に出するとうっすらとライトアップが始まった。しかし、ものすごい風。浜辺の砂も飛んでくる。三脚を持ってこなかったから歩道の石の上にカメラを置いてリモコンでシャッターを切るけれど、強風でカメラが揺れている。旅行先で撮影が辛くなるといつも、まぁ写真を撮りに来たのではないからこの光景をしっかりと目に焼き付ければそれでいいや、とすぐあきらめてしまうのだけれど、今回はなんとかこの神々しい光景を撮りたくていつもよりは粘った。

 尖塔に聖ミカエル像(St-Michel)をいただく建物は今は厳密には宗教施設ではないし、それに島の雰囲気はどうみても観光地そのものなのだけれど、今、目の前にこうして神々しい形として残されたこの島のシルエットは、この教会を生み出した人達の祈りの形が紛れもなく今も息づいていると感じさせる。幸いまだ本格的観光シーズンが始まる前だったらしく人の数もそれほどではなかったけれど、最盛期は日本の初詣並みの人出になるらしい。少し複雑な思いでこの光景を見つめていた。自分も観光客なのに…

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 *フランスと言えばワインですが、今回旅した南仏やノルマンディーはボルドーやブルゴーニュのようにぼくでも知っているような著名なワインの産地ではないのですが、ロゼの美味しい地域やその土地なりの美味しいワインがあるようです。確かにアルルで飲んだロゼもアヴィニヨンで買った法王のワイン(Chateauneuf-du-Pape)という赤ワインも格別でした。日本にお土産として持って帰るつもりが、その晩ホテルの部屋でカミさんと飲んでしまいました。やはりお酒はその土地で飲むのが最良かも?

 昔旅した時の感覚があるのでフランスのビールは不味いという先入観があったのですが、ちょっと変わりました。確かに大抵のところではオランダのあの薄味のビールが置いてあるところが多いのですが、それなりに美味しいビールもありました。ノルマンディーではブドウができにくいためそこではブドウの代わりに林檎で作られたシードルや林檎のブランディーであるカルヴァドスが作られておりそれも楽しみにしていました。

 モン・サン=ミッシェルのレストランでやっとカルヴァドスにありつくことができました。嗅覚10%のぼくの鼻でもその甘美な林檎の香りを感じることができます。口に含むとさらに鼻の内側から香りが立ち上がってきます。ぼくは蒸留酒を飲むときはチェーサーとして軽いビールを飲むことが多いのです。例えばドイツジンのシュタインヘーガーにピルスナービールみたいに。

 そのレストランでのカルヴァドスの時も例によって薄めのビールだと思ってビールを頼んだら出てきたのは小瓶に入ったいわゆる地ビールでした。そのビールはLa Croix des Grevesというモン・サン=ミッシェルの地ビールでしたが、なんとアメ色をしたれっきとしたアンバー・エールでした。苦味もしっかりとしていてフランスでもこんなビールに巡り合えるとは。もちろんチェーサーとしてではなく別個にいただきましたが… うーん、ダブルで嬉しかった。

(cam:NEX-7/TX-7)


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コメント 9

ナツパパ

素晴らしい写真と記事、堪能しました。
とくに一枚目の写真は、息を飲みました。
昔の巡礼は、こういう風にモンサンミシェルを見ながら、
期待に胸を膨らませ歩いたのでしょうね。
あの島の奇観が、一層分かる写真、秀逸です。
by ナツパパ (2013-06-03 08:33) 

engrid

モン・サン=ミッシェルのお写真は
神々しいです
佇み、見とれる光景です
宿泊施設のお話は、ビックリですね
カルヴァドスの芳醇な香りは、すばらしい
by engrid (2013-06-03 15:31) 

binpa

わぁ~実物を見たくなりますね素晴らしい
重い雲がまた似合います^^
by binpa (2013-06-03 18:18) 

coco030705

こんばんは。
モン・サン・ミッシェルってこんなふうに見えてくるんですね。
すばらしい!本当に美しいところですね。最後の島の写真も最高です。
神々しいですね。
by coco030705 (2013-06-03 20:44) 

fumiko

モン・サン・ミッシェルの画像、gillmanさんの執念を感じます。
空の色、ライトアップされた教会のシルエット、素晴らしいです!!
今、自分のアルバムを見返してみたら・・・
世界遺産の地への訪問は16年前でした。
シードル、カルバドス、地ビール・・・
以前とは違った立ち位置で再訪問してみたくなりました。
by fumiko (2013-06-05 16:59) 

blanc

モン・サン・ミッシェルの写真は色々みた事がありますが
gillmanさんの写真が一番です。
こんなに美しい写真をみせて頂き本当に有り難うございます。
by blanc (2013-06-06 08:46) 

テリー

モンサンミッシェルに、20Kgのスーツケースをもってゆくと、つらいですね。私は、ホテルに、重いスーツケースは、預けて、1泊分の荷物を持っていきました。それでも、一眼レフ、交換レンズ、三脚などで、かなりの荷物になりましたがーー。
by テリー (2013-06-07 19:20) 

aya

まるで絵本の1ページを見ているような、素敵な風景ですね!
モンサン・ミシェルも何という堂々と 威厳のある風情で迫ってきます。
素敵な旅、お写真、有難うございます(^・^)
by aya (2013-06-07 22:40) 

kuwachan

モン・サンミッシェルにはまだ行ったことがありません。
一度は行ってみたいと思いつつなかなか実現していないのです。
今回はブルターニュ地方を回ったので、ワインではなくシードルと
ビールばかり飲んでいました(笑)
ブルターニュは地ビールの種類も多く、結構美味しかったですよ。
by kuwachan (2013-06-11 00:05) 

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