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猫を巡るアフォリズム Aphorisms on Cats ~その21~ [猫と暮らせば]

猫を巡るアフォリズム Aphorisms on Cats ~その21~

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 ■ 猫は、毛皮を被った道楽者である。(テオフィル・ゴーティエ)
  The cat is a dilettante in fur. (Theophile Gautier)
  

 確かに猫を見ていると「額に汗して」というタイプではないなぁと思う。冒頭のように19世紀のフランスの詩人テオフィル・ゴーティエ(名前は知っていても作品は読んだことはないけど…)はそれを道楽者と表現した。でも、道楽者というと落語に出てくる若旦那みたいに、吉原通いや芸者衆に入れあげて挙句の果てに親に勘当される(落語「船徳」「湯屋番」「唐茄子屋政談」のように)みたいなイメージがあるのだけれど、ちょっとなんか違うなぁ。

 そこで元の文章を見ると英語では「The cat is a dilettante in fur.」でもゴーティエはフランス人だから当然フランス語に違いないのでフランス語では「Le chat est un dilettante en fourrure.」となっている。いずれも「道楽者」というところには「dilettante(ディレッタント)」という言葉が使われているので、ここら辺が彼が言いたかったところなのだろうか。

 ディレッタントという言葉は調べてみると、「専門家や学者ではないが、文学や芸術を愛好し、趣味生活にあこがれる人。つまり好事(こうず)家」となっているけど、日本ではディレッタントと言うとアマチュアとか生半可に知識などをひけらかす人を小ばかにしていうことが多いらしいが…。

 でも、西欧ではこのディレッタントという言葉にはそういう嘲笑的な意味合いは無いようだ。むしろ尊敬の香りさえ漂っている。例えばウィーン楽友協会(Gesellschaft der Musikverein in Wien)の設立から長いことその演奏活動を支えていたのはディレッタントと呼ばれる演奏家たちで、彼らは音楽以外にほかに職業を持っていたというだけで演奏技術はプロの演奏家たちと何ら変わらなかった。敢えて今風に言うなら「玄人はだし」という事かもしれない。 

 では猫はいったい何のディレッタントなのかといえば、それは優雅に人生を楽しむディレッタントなのかもしれない。いつも居心地のいい場所に陣取って、自分の関心の向くままに生きようとしている。似たような表現になるけど、寺山修司はもっと過激な表現で「猫は財産のない快楽主義者」とも言っている。ぼくらが日常生活で目いっぱいになって心の余裕がなくなってしまっているような時、猫を見てフト肩の力が抜けるような気になるのは、そんなところから来ているのかもしれない。




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コメント 5

engrid

人の言葉を理解していながら
それに従うかは、気の向くかげんで、、
悪びれた素振りがないかと思えば、バツの悪そうな顔もと
傍に姿が見えないと、淋しいです
by engrid (2016-07-02 17:20) 

ナツパパ

そういう相方と巡り会ったが百年目...きっとメロメロになることでしょう。
息子の猫アレルギーがつくづく恨めしいです。
by ナツパパ (2016-07-03 00:08) 

ゆきち

居心地のいいイスはいつも猫の居場所になりますね^^
コーヒーを持って床に座り、いすの上で寛ぐ猫を見上げるのもいいものです。

by ゆきち (2016-07-03 14:14) 

nicolas

dilettante というコトバは日本語にしちゃうと、確かに平べったいですね。
プロ、じゃなければアマチュア。
そういうふうに分け切れないというか、もっと懐が深い意味もあったりして。
日本人は、もっと猫の生き方に学ぶコトがありそうです。
by nicolas (2016-07-05 17:08) 

coco030705

こんばんは。
「dilettante」っていい言葉ですね。専門家みたいに一筋の人ってすごいけど、自分にはなれないなって思います。必死すぎるところがちょっと……。
> 優雅に人生を楽しむディレッタント
これは猫に対する最高の褒め言葉ですね!すばらしい。
by coco030705 (2016-07-10 00:52) 

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