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バーニーのアメリカ [新隠居主義]

バーニーのアメリカ

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 バーニー・ヒュークスはぼくにとっては忘れることができない画家の一人だ。今日から渋谷のBunkamura ギャラリーでバーニー・フュークス絵画展が開かれているので行った。展覧会といっても展示即売会でミュージアムの方ではなくて一階のギャラリーなので入場料は無料。思ったよりも展示数は多かった。でもこんな形でバーニーの絵に再会できるとは思わなかった。

 話は変わるけど、ぼくは40歳過ぎてから運転免許をとったので運転はへたくそだが少年の頃は自動車、特に外国の車が好きでめったにないけど銀座に出ると色々な車が見られて嬉しかったのを憶えている。特に当時のドイツのカルマンギアやフランスのシトロエン2CVとかチェコのタトラ、それからイギリスのヒルマンとかオースチンもお気に入りだった。

 でも、そんな車は街でもそうめったに見かけるわけではない。高校に入ると同じクラスのやはり外車好きの友達が出来て、彼と毎週のように麻布あたりの外車ディーラーを訪ねた。目的はもちろん実車を見ることもあるけど、憧れの車のカタログを貰うことだった。学生服の子供がいきなり行っても、もちろん車を買うわけはないので門前払いを食らうことが多かったけど、何回か行っている内に向こうも根負けしてカタログをくれることもある。

 毎週のように通ってやっとカルマンギアのカタログを貰った時は本当に嬉しかった。ヨーロッパ車のディーラーはハードルが高くて中々カタログをくれなかったけど、それと比べるとアメリカ車のディーラーは結構気軽にくれることが多かったので、自然とそちらに足が向くようになった。

 カタログを集めている内にあることに気が付いた。欧州車のカタログは車の性能やデザインなどを強調しているのが多かったけど、アメリカ車のカタログは大判でイラストが多く、車はもちろんだけど、バーベキューや野外スポーツなど車のある生活シーンが描かれているものが多かった。

 モータリゼーションが進んでいたアメリカでは車は生活の一部で、カタログのイラストはその車のある生活の楽しさを訴えていた。カタログを見ながら子供ながらそのイラストに描かれている世界に憧れた。もう大人になってずっと後になって知ったのだけれど、そのイラストのかなりの部分がバーニー・ヒュークスの手になるものだった。

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 バーニーの描く車は写真よりも素晴らしく見えたし、描き出された生活シーンからは笑い声が聞こえてくるようだった。バーニーの絵は彼の大先輩のノーマン・ロックウェルやぼくの大好きなエドワード・ホッパーアンドリュー・ワイエスなどアメリカンアートの血をひいている。

 彼等の絵は最初はイラストレーションというどちらかといえばヨーロッパの油彩と比べると世界的には低くみられる傾向があったけれど、ぼくは人の心に食い込む力は全く遜色がないと思っているし、事実今では同等以上の評価を得ていると思う。

 バーニーは車のカタログだけではなく、肖像画も多く描いている。その中でもジョン・F・ケネディの肖像画は有名だ。風景を描けば光溢れる逆光のシーンが得意である。構図や描き込みと省略の妙などどこかホイッスラーを想わせるときもある。ホッパーやワイエスと比べると精神性のようなものは希薄かもしれないけど、ぼくは好きだ。

 バーニーの絵を見ていると少年の頃を思い出す。あの頃世界の中で一人だけキラキラ輝いていたアメリカ。バーニーの絵やテレビの向こうに繰り広げられる夢のような世界。アメリカのテレビドラマ「名犬ラッシー」や「パパ大好き」に出てくる家庭のキッチンにある、真っ白でおおきなGEの冷蔵庫が子供の目にも眩しかった。その冷蔵庫を開けると大きな大きな牛乳瓶が入っている。

 ぼくにとってバーニーのカタログは、そんな眩しいアメリカンライフの象徴だった。そういえば、段ボール箱一杯に詰まったあのカタログはどこへ行ってしまったんだろうか。捨ててしまったのかもしれないなぁ。


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 *展示場で係員と話していて、ぼくがバーニーのイラストの載っている車のカタログを集めていた話ををしたら、今はアメリカにもそういうカタログは少なくてとても価値があると言ってました。もうないよなぁ。

 **ぼくの中であれほど輝いていたアメリカの姿が色褪せて見えてきたのは、やはりベトナム戦争が境かもしれません。以来ぼくの目は欧州に向いて行ったような気がします。とは言え、子供の頃から馴れ親しんだアメリカのテレビドラマは今もぼくの心の中で一定の領域を占めています。

 小学校から高校に至るまで見たアメリカのテレビ番組を思いつくままあげてみましたが、その殆どのオープニングか番組の断片的シーンが頭に浮かんできます。


 <ぼくが観ていたアメリカのテレビ番組>

名犬ラッシー、ガンスモーク、ライフルマン、保安官ワイアット・アープ、ローハイド、ララミー牧場、ボナンザ、アリゾナ・レンジャー、テキサス決死隊、アニーよ銃をとれ、ブロンコ、バット・マスターソン、幌馬車隊、拳銃無宿、名犬リンチンチン、ローン・レンジャー、パパ大好き、うちのママは世界一、パパは何でも知っている、ビーバーちゃん、ペイトンプレース・ストーリーズ、ケーシー・ジョーンズ、サーカスボーイ、ベン・ケイシー、メディコ、逃亡者、0011ナポレオン・ソロ、ハイラム君乾杯、それいけスマート、カメラマン・コバック、ヒッチコック劇場、恐怖の扉、世にも不思議な物語、裸の街、ルート66、ハイウエイ・パトロール、シカゴ特捜隊M、バットマン、トワイライトゾーン、突撃マッキーバー、グリーン・ホーネット、ルーシー・ショウ、アイ・ラブ・ルーシー、アウター・リミッツ、コンバット、バックス・バニー・ショー、タイム・トンネル、宇宙大作戦、インベーダー、早撃マック、ちびっこギャング、ギャラントメン、ラット・パトロール、スーパーマン、アンタッチャブル、モーガン警部、87分署、怪傑ゾロ、バークにまかせろ、マニックス、ウイルアム・テル、アイバンホー、ミステリー・ゾーン、サンセット77、ハワイアンアイ、サーフサイド6、透明人間、じゃじゃ馬億万長者、弁護士ペリー・メイソン、ウッド・ペッカー、名馬フリッカ、わんぱくフリッパー、原子力潜水艦シービュー号、億万長者と結婚する法、百万弗貰ったら、かわいい魔女ジニー、ポパイ、奥様は魔女、三バカ大将、トムとジェリー、おばけのキャスパー、ディック・トレーシー、宇宙家族ロビンソン、マイティ・マウス、恐竜家族、ディズニー・ワールド、サンダーバード、エド(話す馬)、スパイ大作戦、チャーリーズエンジェル、ハニーにおまかせ、バイオミック・ジェミー、600万ドルの男。超人ハルク、ナイト・ライダー、鬼刑事アイアンサイド、警部マックロード、刑事コジャック、刑事コロンボ

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女王猫

gillman さん車好きだったんですね~なんか嬉しい^^
あたしは渡瀬せいぞう~、スタートレックです(=^・・^=)

by 女王猫 (2014-12-27 01:05) 

TaekoLovesParis

この絵を見たら、思い出しました。昔のアメリカ、豊かなモータリゼーションの発達したアメリカに憧れていた時代がありました。面白そうですね。さっそく行ってみます。
by TaekoLovesParis (2014-12-27 11:00) 

テリー

アメリカのテレビドラマ、上げられているのは、大体見ています。
今でも、日本のテレビドラマより、アメリカのドラマをよく見ます。少し前は、24(Twenty Four),
プリズン・ブレーク、NCIS,クリミナルマインド、CSI、最近は、Person of Interest, Black List、Law and Order ,Bonesなどです。
Law and Order は、シリーズ20まで、放送されていますが、20年続いていることになります。
日本のテレビドラマは、つまらないのが多いですね。
by テリー (2014-12-27 18:15) 

ナツパパ

gillmanさんがお上げになったテレビ番組、わたしzんぶみてましたよ。
驚いたなあ。
そういえば、近所にグラントハイツなるアメリが住宅施設がありました。
テレビで見る米国中都市の住宅地にそっくりでしたっけ。
by ナツパパ (2014-12-27 19:48) 

ponko310

懐かしいテレビ番組の名前がどんどん見つかって、一人で騒いでいます。
主人もドイツでやっていた同じ番組を幾つか見つけましたよ。
共通の番組を見つけるとそこから話題が生まれました。
ただ日本とドイツでは題名が違っているので説明に時間が掛かって。
でも懐かしいものって心が温かく膨らみますよね。
来年アメリカ旅行を計画していますが、こんな絵画に出会えるといいなぁ。
今年はgillmanさんの思い出にも共通する方達から思いがけない連絡がありました。来年はその話題で輝きますよ~。

by ponko310 (2014-12-27 20:36) 

sig

こんにちは。
私もアメリカの生活にあこがれを抱いた世代ですが、戦争直後に物心がついた世代ですから、日本とは異次元の世界と言う感じの方が強かったかもしれません。ノーマン・ロックウェルは大好きですが、バーニー・ヒュークスもそれと知らずに見ているかもしれませんね。
懐かしいアメリカのTV番組タイトル。その頃は駆け出し社会人の時代で、観たものは「ローハイド」「コンバット」と「アンタッチャブル」だけでした。
gillmanさんのブログでは、毎回の記事はもちろん、左袖の記事のすごさにたじろいできました。すばらしいブログですね。これからも時々寄らせていただきたいと思います。
by sig (2014-12-28 14:53) 

coco030705

こんばんは。
この大きなアメリカ車はあこがれの的でしたね。GEの電化製品も今は昔といった感じです。私もアメリカが魅力的でなくなったのは、ベトナム戦争以降だと思いますね。日本もアメリカの二の舞を演じないようにしなくては、と強く思います。
by coco030705 (2014-12-29 18:36) 

kuwachan

懐かしいドラマの名前がたくさんありました(^^ゞ
でも、一番印象的だったのは「逃亡者」。
父は姉が面白そうに見ていましたが、私はドキドキハラハラで怖くて
真正面から見られず、物陰から見ていた記憶があります(^^ゞ
by kuwachan (2014-12-30 00:49) 

としぽ

こんばんは。
昔のアメ車イラストは車のある生活が楽しく描かれていましたね。
作家の名前は知りませんでした。
TV番組も懐かしいものばかりですね。

by としぽ (2014-12-30 23:43) 

blanc

こんにちは。
今年も残り一日となりました。本当にあっという間でした。
gillmanさんの素敵な記事&写真来年も楽しみにしております。
良いお年をお迎え下さい。
by blanc (2014-12-31 11:10) 

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