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冬こそ音楽 Dresden~Berlin [gillman*s Lands]

冬こそ音楽 Dresden~Berlin

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 今回の旅行の目的は音楽会と美術館だったのだけれど、寒さ嫌いのぼくとしてはこの時期のドイツはいかにも寒くて苦手なのだ。それをおして、敢えて今と言うのは一つにはこの時期が音楽の言わばハイシーズンということで年末年始恒例のオペレッタ「こうもり」からシーズンならではの素敵なコンサートが目白押しだということ。

 さらにもう一つは、観光シーズンには列に並んだり背伸びして観なければならないような名画や美術館の作品がゆったりと観られるということ。今回は特に今まで中々まとめて観ることが出来なかったフリードリヒなどのドイツロマン主義の絵画をじっくりと観てみたいという魂胆なのだった。

 ぼくはクラシック音楽は余りよく分からないので今回一緒に行く友人にチョイスを頼んだのだけれど、ぼくの唯一のしかし外せない要望がゼンパー(ドレスデンのザクセン州立歌劇場)でのヴェーバーのオペラ「魔弾の射手」の観劇だった。他のオペラについてはからきしなのだけれど、この「魔弾の射手」と「こうもり」それに「魔笛」だけはなぜかテキストも頭に入っている。彼のおかげで結局下の様なバラエティーに富むチケットが手に入った。

□Semper/Der Freischutz
 ドレスデン・ザクセン州立歌劇場 オペラ「魔弾の射手
□Semper/Sonderkonzert Rudolf Buchbinder
 ドレスデン・ザクセン州立歌劇場 「ブッフビンダー・誕生日ピアノコンサート」
□Semper/Die Fledermaus
 ドレスデン・ザクセン州立歌劇場 オペレッタ「こうもり
□Staatskapelle Berlin/Geburtstagskonzert Zubin Mehta/Daniel Barenboim
 シュターツカペレ・ベルリン 「ズービンメータ・バースデーコンサートwithバレンボイム
□Berliner Phil./Thieleman/Berliner Phil./Pollini Chopin Piano Conc.#1
 ベルリンフィル 「ティーレマン+ポリーニ・コンサート


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 ゼンパーでの「魔弾の射手」はそれなりに素晴らしかった。それなりにというのは、大昔にマンハイムの歌劇場で何度か観て以来夢にまで見たこのオペラの揺りかごであるゼンパーの舞台なのだが、演出も良かったし、合唱はそれ以上に本当に素晴らしかったのだけれど、一部主役級の歌手の力不足が(良く分かりもしないのにナマイキかもしれないけど…)感じられてそこがなんとも残念だった。

 いくつかあるこのオペラの盛り上がる処で、何かもう一つ盛り上がらない。なんとも納得がいかず後でもう一度プログラムを見てみたら、主役級の三人(アガーテ、エンヒェン、マックス役)が三人とも代役になっている。(しかも代役の理由が三人とも病気のためとなっている。こんなことって…) ぼくはオペラ全般のことはよく分からないけど、こんなことはよくあることなんだろうか。前の音楽監督ティーレマンがドレスデンを辞める時、いろいろとすったもんだがあったみたいなのだけれど、そこら辺が影響しているのか、いずれにしてもなんとも不可解である。

 逆にもしそんなことがあっての事なら、それでもまがりなりにもここまで纏め上げたのは当日の指揮者、エストニア出身の若手の指揮者Mihkel Kütson(キュットソン?)の力があったからなのかもしれない。ちょっと肩透かしは食ったけれど、でもモノは考えようで、もしぼくが今回ドレスデンの舞台で完璧な「魔弾の射手」を観たとしたら、ぼくの中の魔弾の射手の夢はそれで終わった訳で、そういう意味では今後に期待が繋がったと思うようにしよう。


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 逆に望外の楽しい経験になったのが翌日のJ.シュトラウス二世のオペレッタこうもり」の公演だった。それは歌舞伎や洒脱な大衆演劇を観ているような理屈抜きの愉しさ。「こうもり」は大昔に一度観ただけなのだけれど、ビデオなどでは何度となく観てはいた。オペレッタ独特の語りと笑いのツボをくすぐる演出。とにかく観ていて楽しくて面白くて、後で芸達者な役者達にただただ感心させられた。ある意味ではオペラよりも幅広い芸の力が要求されると感じた。

 今回の舞台は演出も斬新だし、特に牢番役を演じたヴォルフガング・シュトゥンプ(Wolfgang Stumph)の演技は抱腹絶倒の連続だった。彼は歌手ではなくベテランの役者で10年以上もこのドレスデンやブレーメン等の舞台で牢番役をやっているらしい。また、他のドイツの小劇場(キャバレット)でも活躍しているベテランの役者だ。彼が単独で演技する歌の無いシーンがたぶん三十分位いは続いたと思うけれど、アドリブもまじえて全く飽きさせない、それどころかぼくみたいにドイツ語のあやしい人間でも涙が出るほど腹を抱えて笑わせる力量は凄いの一言に尽きる。

 また他のシーンでは、女中役のアデーレが舞台から客席に降りてきて客と絡み合うのだけれど、ぼくは前から二列目の席に居たのだが、彼女が演技でぼくの前の席の老紳士の膝に乗って彼をからかいながらもぼくの方に向かって手を差し出した。とっさのことで、ぼくは思わずその手をとって軽い握手をしたのだけれど、後から考えるとあれは差し出された彼女の手と握手するのでなく、差し出された彼女の手の甲にキスをするべきだったのだと気が付いたけど後の祭り。なんとも無粋なリアクションをしてしまった、反省しきり。でも、最高の夜だった。

 
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 ドレスデンからライプチッヒに移って、最後にベルリンに入った。ここは美術館が楽しみだったのだけれど、コンサートも二つ楽しみなのがあった。その一つがズービンメータの八十歳のバースデー・コンサートでバレンボイムもでる。これを皮切りに今年中に何度か開かれるバースデー・コンサートのシリーズの皮切りだったのだけれど…。

 結論から言うと、会場を間違えて聴けなかったのだ。なんともトホホな話。その日のオーケストラはベルリンフィルではなくてSKB(Staatskapelle Berlin)と言われるベルリン国立歌劇場のオーケストラでベルリン国立歌劇場(Staatsoper Unter den Linden)の建物は現在リニューアル工事のため、ここ数年は会場としてシラー劇場を使っている。手にしていたチケットにも大きくStaatsoper im Schiller Theaterと書いてある。生半可にそのことを知っていたためにあらぬ思い込みをしてしまった。

 で、何の疑問も持たずその日開場時間に合わせてシラー劇場に行った。ところが開場時間が近づいてもホールが開かないし、客も数人しか来ない。来た人は皆怪訝そうにしている。シラー劇場の壁に貼ってある公演案内には今日の演目もちゃんと出ているのに。その場にいたやはり不思議がっているドイツ人の夫婦と話してみると、自分たちもチケットを持っているのだけれど訳が分からないという。その内奥さんがスマホでネットを見て公演が中止になったらしいと言う。それにしては案内の張り紙も無いのが不可解だ。

 とにかく明日またチケットオフィスに来てみましょうよ、ということで別れたけれど、何とも解せない。モヤモヤしながらこのままホテルに帰るのも癪に障るので劇場の裏手に回ったら、レストランというか飲み屋があったので入った。これは幸いした。とにかく雰囲気の好い所で、それに女将さんも好い感じ。客は地元の人ばかりらしいけど、今までベルリンで入った飲み屋では一番居心地の好い所だった。Schiller-Klauseという店の名前の通りシラー劇場に関わる色々なアーチストが来たらしく壁には多くの写真が飾られていた。いいなぁ此処。うん、これはこれで悪くはない想い出になりそうだ。

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 *結局、会場を間違えたのでした。その原因は現在はSKB公演=シラー劇場でという思い込みでした。チケットの券面はいかにもシラー劇場ですが、よく見るとチケットの左下に小さく会場はベルリンフィルと書いてありました。その日の公演はちゃんとベルリンフィルで行われていたのです。そうだとすると、あの時ドイツ人夫婦の奥さんの方が何やらネットで見て急きょ公演中止になったと言った情報は何だったのでしょうか。最終的には他にもドイツ人や外国人など何人かの人がシラー劇場の前に集まったのですが、結局その情報でみな会場を後にしたのですが…。ああ…。

[ベルリンのオーケストラとメイン会場]
言い訳になりますが、ベルリンにおけるオーケストラの名前やメイン会場はなんとも紛らわしいのです。
・ベルリン・フイルハーモニー管弦楽団/Berliner Philharmoniker(オーケストラ名)
・ベルリン・フィル/Philhamonie Berlin(メイン会場名)

・ベルリン国立歌劇場管弦楽団(シュターツカペレ・ベルリン)/Staatskapelle Berlin(オーケストラ名)
・ベルリン国立歌劇場/Staatsoper Unter den Linden(メイン会場名) 但し、現在同劇場がリニューアル中のためシラー劇場/Schiller TheaterがStaatsoper im Schiller Theaterとしてメイン会場になっている

・ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団/Deutsche Oper Berlin(オーケストラ名)
・ベルリン・ドイツ・オペラ/Deutsche Oper Berlin(メイン会場名)

 また先日来日した
ベルリン・ドイツ交響楽団/Deutsches Symphonie-Orchester Berlinはまた別の楽団です。他にもベルリン・フィルを本拠地とするベルリン放送交響楽団/Rundfunk-Sinfonieorchester Berlinなどもありますね。複雑な一因は旧東ドイツ時代の楽団との統廃合などの影響もあるようです。


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<Photo>上から…
・ドレスデンのザクセン州立歌劇場
・ザクセン州立歌劇場内
・オペラ「魔弾の射手」のカーテンコール、中央は指揮者のキュットソン
・開場時間間際になっても誰もいないシラー劇場前
・シラー劇場裏の飲み屋Schiller-Krause内、3枚
・ロゴ上、ドレスデン歌劇場前のCafe Schinkelwache店内から
・ズービンメータの"幻の"チケット


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コメント 2

coco030705

こんばんは。
オペラは2回しか観たことがないのです。「カルメン」と「トスカ」です。
↑のgillmanさんのスケジュール中では「ズービン・メータ」しか知りませんでした。コンサート、お聞きになれなくて残念でしたね。
ズービン・メータは2011年に東北関東大震災のチャリティー・コンサートをNHK交響楽団とともに開催してくれたのですね。すばらしい指揮者だと思います。ともあれ、よいご旅行をなさってよかったですね。


by coco030705 (2016-02-11 17:55) 

ナツパパ

せっかくにチャンス、残念でしたね。
またぜひお出でになって下さい。
わたしも、ヨーロッパに行くんだったら冬、と思います。
日常の景色を見られるのも良いですし、その中に、
コンサートがあれば、わたしも聞きに行くなあ。
by ナツパパ (2016-02-13 11:44) 

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