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病棟の夜 [新隠居主義]

病棟の夜

KrankenhausNacht2016.jpg



 病棟の夜は長い。
 病棟の夜はほんとうに長い…。

 痛みで眠れない夜など、病棟の夜はとてつもなく長く感じる。何度もトイレに起きてシンとした廊下をつたってベッドに戻るのだけれど、朝はいつまで経ってもやってこない。

  眠れない夜、脳裏に浮かんでくるのは、なぜか楽しい事ではなく悔しいこと、辛いこと、不安なことなど等。まるで自分の人生に楽しいことなど無かったみたいに…。

 2009年にやはり手術でこの病院に入院した時もそうだったことを思い出した。その晩眠れないベッドの中で思い起こしていたのは一人の友の事だった。その一番の親友のTを最後に見送ったのもこの病棟のエレベーターだった。もうあれから16年も経ったんだ。

  その晩、ぼくは眠れないままにフラフラとエレベーターホールまで歩いて行った。あの日、このエレベーターの扉の向こうに消えて行った友の表情を未だに思い出すことができない。今生の別れだったのにその表情を思い出せないことがずっとぼくの胸に引っかかっている。

  痛みで眠れない夜の鎮静剤は劇的だ。ようやく薬が効き始めた真夜中の静謐な病棟の廊下。暗闇の中に生命(いのち)を示す光がもれて、どこかエドワード・ホッパーの絵のようで美しいなと思った。悲しみとか、苦しみとかの中にも美しさのようなものが見えるのだ…鎮静剤があれば。


 
KrankenhausNacht2016b.jpg



gillmans todey.gif




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コメント 4

TaekoLovesParis

廊下の写真、ホッパーの絵が浮かびますね。
早く退院の日が来るといいですね。御大切に。
by TaekoLovesParis (2016-12-22 01:04) 

親知らず

鎮静剤や麻酔薬を作った人は偉大だと思います。
苦しい時も、主治医の言葉や薬で光が見えますね。
こんなに闘病しているのだから、嗅覚が戻ってきますように。
お大事になさって下さいね。
by 親知らず (2016-12-22 23:36) 

aya

病院の夜は長いでしょうね。
母が入院していた時、夜中に母がもう寝れるからと言うので、
病室を出たとき、廊下の非常灯の緑だけが目に飛び込み、ナースステーションの灯りを頼りに歩いた覚えがあります。
あの時は精神状態も悪く、絶望の目でしか見れなかったなぁ。
お大事に。
by aya (2016-12-24 21:46) 

ナツパパ

心に染み入る記事でした。
人はそれぞれ悔いを持ちつつ生きていかなければならないのでしょう。
わたしも同じです。
はやく良くなりますように。
by ナツパパ (2016-12-31 20:07) 

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