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小さくなる背中 [新隠居主義]

小さくなる背中

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  …老いるってことは病(やまい)るってことと同じ。
 だけど、それは闘うんではなくて、猫とつきあうように、病とか老いに静かに寄り添ってやるもんだと思うんだよね。一緒に連れ添っていくというか。

 よく、頑張んなきゃとか、しっかり生きなきゃとかいうけど、頑張んなくてもいい、寄り添っていけば。力まずに、それも自分だという風に生きていくと、すっと楽になる。そんなこと思ったの、つい三、四日前なんだけどね。(笑)…

  (緒形拳「私と猫」)



 母はこの2月で97歳になった。それまでは比較的しっかりしていたんだけれども、昨年の夏の終わりころから急激に認知症の症状が顕著になり年末の介護認定の更新では要介護4ということになった。

 母が認知症と診断されたのはもう十年くらい前になるが、その時に当時通っていた大学院の精神医療の授業で教わっていた医師にそのことを相談したら、認知症を治す薬も予防する薬もまだないが、唯一症状の悪化を緩やかにする薬があるので服用した方が良いというアドバイスをもらった。

 かかりつけの精神科医に処方してもらって、幸いその薬が母にあったのか副作用はみられなかったので(叔母は一度その薬を試したがむくみの副作用がひどく止めたのだということを聞いていたので心配だったが…)以来ずっと続けていた。そのお蔭かその時々で状態に波はあるものの何とかやってこられた。もちろんその間にも、この前まではアレはできたのに最近は出来なくなったなどというものが徐々に増えていった。最初に俳句ができなくなって、それから新聞が読めなくなって、とうとう字を書いたりメモもとれなくなった。

 今は調子がいい時はぼくやカミさんのことは分かるけれど、そうでない時は話しかけても中々反応しなくなった。車椅子の生活なので足のむくみが気になってマッサージしてあげるのだけれどいつもの「ああ~、いい気持ち」という声も聞かれなくなったし、頸のマッサージをするために後ろに回るとほんとに背中が小さくなった。

 ここのところ二、三日日差しの暖かい日が続いたので近くのお寺に散歩につれて行ったのだけれど、周りに関心がなく早く帰りたがるようになった。以前は口癖のようだった、どこが痛いとかもう生きてるのが嫌になったとかは言わなくなったけれど、そうなると、そんな泣き言、繰り言でもいいから言ってもらいたいという気にもなってくる。車いすを押しながら、これから益々母の背中は小さくなっていくんだろうなぁと想った。気が付けば自分ももう身体の無理の利かない老いの中にいる。今は寄り添うことくらいしかやってやれない。

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コメント 5

coco030705

こんばんは。
gillman さんの優しさと温かさがあふれている文だと思いました。


by coco030705 (2017-03-05 22:12) 

親知らず

私の母の世話なんてGillmanさんに比べれば、まだ序の口だと思いました。頑張らないで寄り添えば良いんですね。なるほど。
by 親知らず (2017-03-06 08:13) 

テリー

認知症、大変ですね。なんとか、なりたくないものです。
by テリー (2017-03-06 16:26) 

kuwachan

gillmanさんはお優しいですね。
私の両親は認知症ではありませんが、以前に比べると忘れっぽくなりましたし、動作も鈍くなりました。
仕方がないことなのですが、つい強い口調になってしまって、後から後悔です。
by kuwachan (2017-03-06 23:43) 

ナツパパ

背中からの写真を見ていると、なんともいえない気持ちになります。
今年89歳になる母がいますので、gillmanさんの記事は心に沁みます。
by ナツパパ (2017-03-08 09:59) 

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